7歳からの可能性と場合分け思考力 アナログゲーム選び方
子供たちが成長する過程で、論理的思考力や問題解決能力は非常に重要な基盤となります。特に「可能性の検討」や「場合分け」といった思考は、目の前の状況から考えられる選択肢を複数予測し、それぞれの結果を推測して最適な行動を選択するために不可欠な力です。この思考力は、学業だけでなく、日常生活や将来社会で直面する様々な課題に対応するためにも役立ちます。
7歳頃は、具体的な思考から少しずつ抽象的な思考へと移行し始める時期です。この時期に、遊びを通じて楽しみながら可能性や場合分けの考え方に触れることは、その後の思考力の伸びに大きく影響を与える可能性があります。中でもアナログゲームは、実際に手を動かし、対話し、試行錯誤を繰り返せるため、これらの思考力を自然な形で育むのに適しています。
可能性と場合分け思考力とは
可能性を検討する思考とは、ある状況に対して「Aをしたらどうなるか」「Bをしたらどうなるか」というように、複数の選択肢や次に起こりうる事態を予測する力です。そして、場合分け思考力とは、予測した複数の可能性をそれぞれ区別し、それぞれの状況に応じた対応を考えたり、それぞれの場合の結果を比較検討したりする力と言えます。
例えば、簡単な例で考えてみましょう。ジャンケンをする際に、相手が「グー」を出す可能性がある、「チョキ」を出す可能性がある、「パー」を出す可能性がある、と予測するのが可能性の検討です。そして、「相手がグーを出した場合、自分はパーを出せば勝てる」「チョキを出した場合、自分はグーを出せば勝てる」のように、相手が出す手という「場合」によって自分が取るべき手を変えるのが場合分けの思考です。
子供がこの思考力を養うことは、物事を多角的に捉え、柔軟な発想を持つことにも繋がります。
可能性と場合分け思考力を育むアナログゲーム選びのポイント
この思考力を育むアナログゲームを選ぶ際には、以下の点を考慮すると良いでしょう。
- 複数の選択肢と結果が存在するゲーム: プレイヤーが何らかのアクションを選択することでゲームが進行し、その選択によって次に起こる状況が変わるゲームが適しています。カードゲームでのどのカードを出すか、ボードゲームでのどのマスに進むかなどがこれにあたります。
- 将来の状況を予測する必要があるゲーム: 目先の利益だけでなく、数手先、数ターン先の状況をある程度予測して戦略を立てる必要があるゲームは、可能性をシミュレーションする力を養います。
- 条件によってルールや結果が変わるゲーム: 特定のカードが出たり、特定のマスに止まったりすることで、追加の効果が発生したり、ルールが一時的に変更されたりするゲームは、提示された条件に基づいて場合分けして考える練習になります。
- 試行錯誤が許容されるゲーム: 一度の失敗が致命的にならず、様々な戦略や選択肢を試しやすいゲームは、子供が萎縮せずに様々な可能性を検討する習慣をつける助けになります。
- 対象年齢と難易度: 子供の発達段階に合ったものを選ぶことが重要です。複雑すぎるルールは思考の妨げになる場合があります。パッケージなどに記載されている対象年齢は目安にしつつ、子供の興味や理解度に合わせて調整してください。
具体的なゲームの種類と活用例
具体的なゲームの種類としては、以下のようなものが挙げられます。
- 戦略系ボードゲーム: シンプルなアブストラクトゲーム(例:リバーシ、チェス、オセロなど、ただし7歳にはルール調整や簡易版が望ましい場合も)や、コマを動かして陣地を広げたり、特定の目的を達成したりするタイプのゲームです。自分の手だけでなく、相手の反応や次に起こりうる展開を複数予測しながらプレイすることで、自然と可能性を検討し、場合分けして考える訓練になります。「ここでこのコマを動かしたら、相手はどう動くか。その次は自分がどう動けるか」といった思考を繰り返します。
- 手札選択型カードゲーム: 複数の手札の中から、現在の状況や相手の手札(見えない場合も含む)を推測して最も効果的なカードを選ぶゲームです。どのカードを出すか、あるいは温存するか、といった選択肢から、それぞれの結果を想像する必要があります。「このカードを今出すと、この後不利になるかもしれない」「今は使わない方が、次のターンにもっと有利な状況を作れるかもしれない」といった場合分けの思考が求められます。
- 推理・謎解き系ゲーム: 与えられたヒントや情報から、論理的に答えを導き出すゲームです。このプロセスでは、「もしAが正しいなら、Bは間違いのはずだ。しかしBは正しいと分かっている。だからAは間違いだ」といった消去法や、「考えられる可能性はX, Y, Zの3つだ。このヒントからXは消去できる。次のヒントでYも消去できれば、残ったZが答えだ」といった場合分けと絞り込みの思考が不可欠です。
これらのゲームを通じて、子供は具体的な状況の中で「もしこうだったら」「この場合は」と考える機会を自然に得ることができます。
子供と一緒に遊ぶ際のポイント
アナログゲームは、大人と一緒に遊ぶことでさらに深い学びにつながります。
- 問いかけを大切に: 子供が選択に迷っている時や、ゲームの状況が動いた時に、「どうしてそれを選んだの?」「もし別の手を選んでいたら、今頃どうなっていたかな?」「次に起こりうるのはどんなことかな?」といった問いかけを優しく投げかけてみてください。すぐに答えを教えるのではなく、考えるプロセスを促すことが重要です。
- 思考プロセスを共有する: 大人も自分の手を考える際に、「私はこう考えたんだけど、他にこういう可能性もあったよね」など、自身の思考プロセスを言葉にして共有するのも効果的です。子供は身近な大人の考え方に触れることで学びを深めます。
- 結果だけでなくプロセスを評価する: ゲームの勝敗だけでなく、子供がどのように考え、どのような可能性を検討したのか、そのプロセスを褒めることが大切です。「難しい状況だったけど、色々な可能性を考えて手を打てたね」といった声かけは、子供の自信に繋がり、さらに考えようという意欲を引き出します。
- 失敗から学ぶ機会に: 選択がうまくいかなかった時こそ学びのチャンスです。「どうしてうまくいかなかったんだろうね?」「あの時、別の可能性を選んでいたらどうなっていたかな?」と一緒に振り返ることで、次は別の方法を試してみようという前向きな姿勢が育まれます。
購入場所について
今回ご紹介したようなアナログゲームは、様々な場所で購入することができます。大型書店や百貨店の玩具売り場、アナログゲーム専門店では、実際にパッケージを見たり、店員さんに相談したりしながら選ぶことができる場合があります。また、インターネット上のショッピングサイトでも豊富な種類が取り扱われており、他の購入者のレビューを参考にしながら選ぶことも可能です。子供と一緒に実物を見ながら選ぶ楽しさや、オンラインで多くの選択肢から比較検討する便利さなど、それぞれの良さがありますので、ご都合に合わせて検討されると良いでしょう。
まとめ
可能性の検討と場合分け思考力は、子供たちが複雑な世界を理解し、合理的な判断を下すための重要な思考スキルです。7歳頃の子供にとって、アナログゲームはこれらの力を遊びながら自然に身につけるための優れたツールとなり得ます。ゲーム選びのポイントを押さえ、そして何より、子供と一緒に楽しみながら対話をすることで、その学びはさらに豊かなものになるでしょう。今回ご紹介した内容が、お子様やお孫様の思考力を育むアナログゲーム選びの一助となれば幸いです。