7歳児の分解思考力を養うアナログゲーム選びのポイント
はじめに
お子様やお孫様への贈り物として、知育玩具やゲームをお探しになる機会は多いかと存じます。特に7歳頃のお子様は、物事を論理的に捉え、解決策を見つけ出す力が目覚ましく発達する時期です。この大切な時期に、問題を「分解して考える力」を育むことは、今後の学習や日常生活における様々な課題への取り組みにおいて、非常に重要な基礎となります。
複雑に見える問題も、小さな要素に分解し、一つずつ順序立てて考えていくことで、解決への道筋が見えてきます。このような思考力、すなわち「分解思考力」は、特別な訓練だけでなく、遊びを通して自然に身につけることが可能です。デジタルゲームが普及する中でも、手で触れて考えるアナログゲームは、五感を使い、対面でのコミュニケーションを伴うことから、お子様の健やかな思考力の発達に多くの利点をもたらします。
この記事では、7歳頃のお子様の分解思考力を育むために適したアナログゲームの選び方や、一緒に遊ぶ際の工夫について、具体的なゲーム例を交えながらご紹介いたします。
分解思考力とは
分解思考力とは、簡単に言うと、複雑な問題や大きなタスクを、より小さく、管理しやすい要素やステップに細分化して考える能力のことです。
例えば、「大きなプラモデルを作る」というタスクがあるとします。分解思考力がないと、何から手をつけて良いか分からず途方に暮れてしまうかもしれません。しかし、分解思考力があれば、「まずパーツの種類を確認する」「説明書の最初のステップを読む」「必要なパーツをランナーから切り離す」「部品を接着する」「次のステップに進む」といったように、全体像を小さな工程に分解し、順序立てて考えることができます。
これはプラモデル作りに限らず、算数の文章問題を解く際(問題文の情報を分解し、必要な数式を組み立てる)、片付けをする際(部屋全体をいくつかのエリアに分け、さらにモノの種類ごとに分けて考える)、さらには人間関係の中で相手の気持ちを理解しようとする際(言葉、表情、状況など複数の要素を分けて捉える)など、日常生活のあらゆる場面で役立つ力です。
分解思考力を育むアナログゲームの特徴
分解思考力を養うアナログゲームには、いくつかの共通する特徴が見られます。
- 複雑なものを要素に分ける必要があるゲーム: 完成形があるパズルや組み立て系のゲームは、全体像を完成させるために、個々のピースやパーツの役割、形、位置などを考慮する必要があります。これは、全体を部分に分解して考える練習になります。
- 目標達成のために手順を踏むゲーム: 特定のゴールを目指すボードゲームやカードゲームでは、ゴールまでの道のりを考え、いくつかのステップや行動に分解する必要があります。また、相手の手を予測し、それに対する自分の手を考えるプロセスも、状況を要素に分解して分析することにつながります。
- ルールや情報を整理する必要があるゲーム: 複数のルールが組み合わさったゲームや、様々な情報が提示されるゲームでは、それらの要素を整理し、それぞれの意味や関連性を理解する必要があります。これは、複雑な情報から必要な部分を抜き出し、構造化する練習になります。
具体的なアナログゲーム例とその効能
7歳頃のお子様の分解思考力育成に役立つ具体的なアナログゲームをいくつかご紹介します。
- 立体パズル・知恵の輪 木製やプラスチック製の立体パズルや、金属製の知恵の輪は、まさに「分解」と「組み立て」の思考を要する代表例です。完成形や解ける形をイメージしながら、パーツがどのように組み合わさっているのかを観察し、それを解くためにはどのパーツをどの順番で動かせば良いかを考えます。試行錯誤の過程で、うまくいかない原因を分析し、次の試みに活かすことも分解思考の一種と言えます。対象年齢は製品によりますが、シンプルなものから始めて段階的に難易度を上げていくことができます。
- タイル配置・陣取り系のボードゲーム 例えば、決められた形のタイルをボード上に配置していくゲームや、自分のコマを置いて陣地を広げるゲームなどです。限られたスペースの中にどのようにタイルを置けば効率が良いか、相手より優位に立てるかを考える際に、「全体のスペース」を「使用済みの部分」「空いている部分」に分解し、さらに「空いている部分」を「次に置きたいタイルの形に合う部分」に分解して探すといった思考を行います。戦略を小さな一手一手に分解して考える練習にもなります。対象年齢は7歳から遊べる入門的なものから、大人でも楽しめる戦略的なものまで幅広く存在します。
- 特定のカードゲーム 手札のカードの組み合わせを考えるゲームや、場の状況に応じて出すカードを決めるゲームの中にも、分解思考力を養うものがあります。例えば、特定の役を作るために手札を分解して考えたり、相手が出したカードの効果や意図を複数の要素(カードの種類、数字、ゲームの状況など)に分けて分析したりします。情報の整理と分析、そしてそれに基づく判断というプロセスは、分解思考と密接に関連しています。ルールがシンプルで分かりやすいカードゲームから始めると良いでしょう。
これらのゲームは、単にルールに従って遊ぶだけでなく、考えるプロセスそのものを楽しむことが重要です。
一緒に遊ぶ際の工夫
お子様と一緒にアナログゲームで遊ぶ時間は、単にゲームを楽しむだけでなく、お子様の思考力を伸ばす絶好の機会です。特に分解思考力を意識して遊ぶためには、いくつかの工夫が有効です。
- 考える過程を言葉にする: 「どうしてそう思ったの?」「次にどうすればいいかな?」「この形にするには、まずこれを外すのが良さそうだね」のように、問いかけたり、大人が自分の思考プロセスを言葉にしたりすることで、お子様はどのように考えれば良いかを具体的に学びます。問題を分解するヒントを与えることも効果的です。
- 失敗を恐れず、原因を一緒に考える: ゲームでうまくいかなかった時、「どうしてダメだったのかな?」「どこで間違えちゃったんだろう?」と、失敗した原因を感情的にならずに一緒に分析します。これは、問題の原因を要素に分解して特定する練習になります。失敗から学び、次に活かす姿勢を育みます。
- 小さな達成感を積み重ねる: 難しい問題に取り組む際は、最初から完璧を目指すのではなく、「まずはこの部分だけ完成させてみよう」「最初の3ステップだけやってみよう」というように、小さな目標を設定します。小さな成功体験を積み重ねることで、モチベーションを維持し、複雑な問題にも粘り強く取り組む力を養います。
アナログゲーム選びのポイント
7歳のお子様のために分解思考力を養うアナログゲームを選ぶ際のポイントをいくつかご紹介します。
- お子様の興味・関心に合うか: お子様自身が「やってみたい」と思うゲームを選ぶことが最も重要です。乗り物が好きなら乗り物系のパズル、動物が好きなら動物がテーマのゲームなど、お子様の関心に合わせたゲームを選ぶと、より意欲的に取り組んでくれるでしょう。
- 対象年齢と難易度: パッケージに記載されている対象年齢はあくまで目安ですが、参考にすることで、お子様の理解度や発達段階に合ったゲームを選びやすくなります。最初は少し簡単なものから始め、慣れてきたら少しずつ難易度を上げていくのがおすすめです。難しすぎるゲームは、お子様のやる気を削いでしまう可能性があります。
- 大人も一緒に楽しめるか: アナログゲームの大きな魅力の一つは、一緒に遊ぶ人とのコミュニケーションです。大人も心から楽しめるゲームを選ぶと、自然と会話が弾み、お子様もより楽しく取り組めます。一緒に考える過程で、お子様の思考の癖や得意なこと、苦手なことなども見えてくるでしょう。
- 複数の思考力を育めるか: 分解思考力だけでなく、順序立てて考える力、パターン認識力、空間認識力など、複数の思考力を同時に育めるゲームを選ぶと、より効果的です。
購入場所について
アナログゲームは様々な場所で購入できます。
- デパートや大型量販店のおもちゃ売り場: 様々な種類のアナログゲームが置いてあり、実際に手に取って見られることが多いです。
- 専門のボードゲームショップ: 幅広い品揃えで、店員さんに相談しながら選ぶことも可能です。入門者向けのゲームも充実しています。
- オンラインストア: 自宅にいながら多くの選択肢の中から選べます。商品のレビューなどを参考にすることもできます。
お子様の興味や、ご自身の都合に合わせて、購入場所を選んでみてください。
まとめ
7歳頃のお子様にとって、問題を分解して考える力、すなわち分解思考力は、今後の学びや生活の基盤となる大切な力です。アナログゲームは、この分解思考力を遊びを通して楽しく育むための有効な手段です。
パズルや組み立てるおもちゃ、戦略的な要素のあるボードゲームやカードゲームなどを活用し、お子様と一緒に考え、対話しながら遊ぶ時間を大切にしてください。ゲーム選びの際は、お子様の興味や発達段階に合ったものを選び、失敗を恐れずに挑戦できる温かい雰囲気の中で取り組むことが重要です。
アナログゲームを通じて、お子様の思考力を育みながら、共に過ごす豊かな時間をお楽しみいただければ幸いです。